3DCG/CAD/アニメーション/映像編集に推奨のグラフィックスカードを分類する
(本ページはプロモーションが含まれています)
本ページは、2014年頃のグラフィックスカード中心の記載です。最近のカードについては、下に紹介の該当ページをお読みください。
【本ページと関係深いページ】 :
動画編集向け推奨スペックPC - Adobe Premiere, PowerDirector, After Effectsなど快適
3DCGアニメ制作推奨PC - 3ds Max, Maya, Cinema 4Dなど快適
3DCG制作入門向けパソコン -Blenderが快適
動画(ビデオ)編集パソコン一覧へ
Adobe Creative Cloud (CC) 推奨スペックPCモデルへ
クリエイターと呼ばれる、3DCG/モデリング/アニメーション/特殊効果/映像編集/動画編集などの制作者、そしてCAD(設計・製造)使用のデザイナーなど向けに、おすすめのグラフィックスカードを調べて分類して見ました。(2014年2月調査)
この中には、3Dキャラクタアニメーション制作に特化したソフトの「モーションビルダー(MotionBuilder)」や 構造・伝熱解析ソフトの「ANSYS Mechanical」、そして医療系3Dレンダリングなどまで幅広く含まれてきます。
今回調査の対象は、デルコンピュータと日本HPの下記出典サイトの一覧表から関係するデータ引用抜粋が中心です。
これらのページをよく眺めてみますと、本格的なプロフェッショナルからアマチュア用途まで、(漠然ながら)なかなか分かりにくかった、様々な利用応用分野の境界線も見えて来ます。
★NVIDIA Quadro 搭載Dell Precisionワークステーション(プロのソリューションに最適なグラフィックス環境)
★Digital Media and Entertainment (DME ISV Certification for Current HP Workstations – January 2014)
多くの場合、ユーザーが最初に決めるのは、自分に適したアプリケーションであり、次のステップとして、手持ちのハードウェア環境がそのアプリを使いこなすために十分なのかどうか、問題が出ないだろうか、などと考えていくのが多いようです。
このため、利用のアプリケーションから見た場合、その、中心的な役割を果たすハードウェアとして「おすすめのグラフィックスカード」の位置付けを分類整理しました。
本ページで云う利用のアプリケーションとは、デジタルコンテンツ制作、製造業、サイエンスやエネルギー開発などの広い分野で利用されるプロ向けアプリケーション(ISVアプリケーション)を指しています。
注記)ISV( Independent Software Vendor )と認証 :
PCメーカーと共に、ISV(コンピュータメーカーではないパッケージソフトの開発・販売会社)が、ベンチマーク認証テストを定期的に実施している。
認証テストでは、PC製品/OS/グラフィックスカード/ISVアプリケーションの組み合わせで高負荷テストや認証プロセスの中で確認された問題の解決などが行われ、グラフィックスカードドライバーが認定される。
●デルのISVソリューションページへ ●日本HPのISVアプリケーション認定表ページへ
ゲーム/コンシューマ向けとして設計された「GeForce( or AMD Radeon)系カード」は、そのほとんどがISVアプリケーションでテスト、認定されていません。これに対して、プロ向けワークステーション用に特別に設計されているNVIDIA Quadro( or AMD FirePro)は、150以上のISVアプリケーションへ対応し、推奨・認証されています。
ただ、例外もあり、その代表がWindows OS対応の「3ds Max」ですが、Intel HD Graphics4600や、一部のGeForce GTX系 でも、例は少ないながらも、しっかりと認証されていました。
またGrass Valley社の 「EDIUS」は、プロも使うノンリニア編集ソフトの中で、比較的ハードウエアの制約が少ないようです。古くからある編集ソフトでは、グラフィックボードやシステム構成に厳しい条件がある場合が多いのですが、(グラフィックボードを、OpenGL系を強く推奨するメーカーが多いにも関わらず、)DirectXを中心に据えたボードでも対応しています。(この話は、●EDIUS(エディウス)が快適に動作するPCのスペックは−特にAVCHD編集ページをお読み下さい。)
さて、本題に戻って、このページの用途では、(下記のデルの例のように)3つに分類すると解りやすいようです。実際にはハッキリと区別されない仕事も多くあるのが現実ですが、およそのところ、「3DCG(モデリング/アニメーション/特殊効果)」、「映像編集/動画編集」、そして、「機械設計CAD(設計・製造)」の3種類です。
【デルコンピュータからの引用のお薦めのカード分類(最適なグラフィックス環境一覧表から抜粋)】
(表のQuadro系カードは、OpenGL系グラフィックスと言われますが、全てがDirectX 11 にも対応)
利用アプリケーション (グラフィックス制御APIは 注記を参照) |
最小構成(10%のユーザー) ・アプリケーションの使用頻度が低い ・小さいオブジェクトやアセンブリ |
標準構成(80%のユーザー) ・日常的にアプリケーションを使用 ・標準的なオブジェクトやアセンブリ ・アプリケーションの全機能に対応 |
最大構成(10%のユーザー) ・アプリケーションの性能を最大限に引き出したい ・巨大なオブジェクトやアセンブリ ・アプリケーションの全機能に対応 |
---|---|---|---|
映像編集/動画編集 | |||
●Grass Valley Edius
(Windows: Direct 3D) →・エディウスの快適動作スペック |
Quadro K600 | Quadro K2000 | Quadro K4000 or Maximus (Quadro K5000 + Tesla K20) |
●Sony Vegas Pro (OpenCL) |
Quadro K600 | Quadro K2000 | Quadro K4000 |
●Adobe Premiere Pro (OpenGL) ・上の必要システム構成(Quadro 2000) |
Quadro K2000 | Quadro K2000 | Maximus (Quadro K5000 + Tesla K20) |
●Avid Media Composer (OpenGL:映像のノンリニア・ビデオ編集) |
Quadro K4000 | ||
3DCG(モデリング/アニメーション/特殊効果) |
|||
●Maxon Maxon 3D (OpenGL) |
Quadro K600 | Quadro K2000 | Quadro K4000 |
●Autodesk 3ds Max (Windows OS専用) →・他のISV推奨・認証カード |
Quadro K2000 | Quadro K4000 | Quadro K5000 |
●NewTek Lightwave (Direct X) |
Quadro K2000 | Quadro K4000 | Quadro K5000 |
●Autodesk Maya (OpenGL) →・他のISV推奨・認証カード |
Quadro K4000 | Quadro K5000 | Quadro K6000 |
機械設計CAD(設計・製造) | |||
●Autodesk AutoCAD (OpenGL) |
Quadro 400 | Quadro K600 | Quadro K2000 |
●PTC Creo (OpenGL) |
Quadro K2000 | Quadro K4000 | Quadro K5000 |
●Dassault Systèmes SolidWorks (OpenGL) |
Quadro K2000 | Quadro K4000 | Quadro K5000 |
●Siemens NX (OpenGL) |
Quadro K2000 | Quadro K4000 | Quadro K5000 |
●Autodesk Showcase (OpenGL) |
Quadro K4000 | Quadro K5000 | Quadro K6000 |
対象となるデルのワークステーション:
Dell Precisionシリーズ_デスクトップ Dell Precisionシリーズ_ノートブック
次に、日本HPでは、デルのように利用用途の分類がなく、実際のモデル型式のみでした。このため代表的な利用モデルとして、入門向けから最強のハイエンドまでの4種類を取り出して、そのグラフィックスカードを書き出してみました。
具体的な各モデル型式ごとに、 ISV 認証を通った、かつ、選択できるグラフィックスカードを記載しています。(ただ、実際販売ページの見積もり(カスタマイズ)欄を見ると、サイトの対応一覧表に ISV 認証がされていても、BTO選択できないカードもありました。)
★サイトの対応一覧表:Digital Media and Entertainment (DME ISV Certification for Current HP Workstations – January 2014)
このため、エントリー3D対応モデルと書いていても、もし最上位のグレードのハイエンドカードを選択すれば、表中の最強のハイエンドワークステーションに近づく(あるいは、となる)ことになります。(ただし、CPUなど他の部品もあらかじめ準備しておく必要があります。)
あるいは、最終的に最強のハイエンドワークステーションにしたい計画があれば、最初の購入時に最強のワークステーションで、エントリー3Dクラスのグラフィックスを選んで置き、数年後に最強のハイエンドカードに変更するなどの方法も考えられます。
【日本HPからのカード分類(ISV 認証を通ったワークステーション一覧表より抜粋)】
(AMDとnVidia 2社のグラフィックスカードは、各社の性能の順番に記載しました。)
エントリー3Dノート |
エントリー3Dデスクトップ |
ミッドレンジワークステーション |
Zシリーズ最強ハイエンドワークステーション |
|
---|---|---|---|---|
(日本HP社のワークステーションor PC) | HP ZBook 15 Mobile Workstation | HP Desktop workstations Z230/Z230SFF | HP Z620 Workstation | HP Z820 Workstation |
利用アプリケーション
(グラフィックス制御APIは注記を参照) |
||||
(いずれもOpenGL 2.0以上) ●Premiere Pro CS6 ・上の必要システム構成(Quadro 2000) ●After Effects CS6 ・上の必要システム構成(Quadro 2000) ●Photoshop CS6 ・上の必要システム構成 参考→・Adobe CS6 動作確認モデルの事例−コスパ重視の映像・3DCG制作に |
Quadro K1100M | FirePro V3900 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
Quadro 2000 Quadro 4000 Quadro 5000 Quadro 6000 Quadro K5000 FirePro W7000 |
FirePro V3900 / V4900/ V5900/ V7900/ W7000
Quadro 2000/ 4000/ 5000/ 6000/ K2000/ K4000/ K5000 |
●Autodesk Softimage 2014 x64
(OpenGL ,DirectX) →・他のISV推奨・認証カード |
(オールインワン型Z1ワークステーション
で Quadro 500M 〜4000Mあり) |
(オールインワン型Z1ワークステーション
で Quadro 500M 〜4000Mあり) |
Quadro K600 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
Quadro K600 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
●Autodesk MotionBuilder 2014 x64(3Dキャラクタアニメーション制作に特化)
(OpenGL) →・他のISV推奨・認証カード |
Quadro K600 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
Quadro K600 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
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●3ds Max 2014 x64
(Windows OS) →・他のISV推奨・認証カード |
FirePro V3900 / V4900/ V5900/ V7900
Quadro 600/ 2000/ 4000/ 5000/ 6000/ K5000 |
FirePro V3900 / V4900/ V5900/ V7900
Quadro 600/ 2000/ 4000/ 5000/ 6000/ K5000 |
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●Maya 2014 x64
(OpenGL) →・他のISV推奨・認証カード |
Quadro K600 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
Quadro K600 Quadro K2000 Quadro K4000 FirePro W7000 |
上の表では、AMDとnVidia 社の性能の順番にグラフィックスカードを記載しましたが、AMD FirePro とnVidia Quadro との相対比較は出来ていません。この比較については、3DCG制作での推奨パソコンの評価方法と探し方選び方のページの方におよその傾向を書きました。
最後の注意点として、Autodesk社の認証ページでは、「GeForce GTX系 グラフィックスカードでも、例は少ないながらも、しっかりと認証されていました」と書きました。
それでは本当に問題ないのでしょうか。この点には、利用するアプリケーション毎に注意深くチェックをする必要がありそうです。拡大解釈は少し危険です。
その理由に、Autodesk Maya サポート情報には、次の注記も書かれています。
ハードウェア・オーバーレイプレーンが無い(またはハードウェア・オーバーレイプレーンをオフに設定した)ビデオカードを使用した場合、 ArtisanまたはPaint Texture技術等を使用する操作において、性能が著しく低下する可能性があります。また、シーンやMayaインターフェイスの外見の操作において、ハードウェア・オーバーレイを使用した場合と、視覚的な違いが発生します。
●ハードウェア・オーバーレイプレーンが無いカードの例 :ATI Radeonファミリー、NVIDIA GeForceファミリー
2014年2月13日
【本ページと関係深いページ】 :
動画編集向け推奨スペックPC - Adobe Premiere, PowerDirector, After Effectsなど快適
3DCGアニメ制作推奨PC - 3ds Max, Maya, Cinema 4Dなど快適
3DCG制作入門向けパソコン -Blenderが快適
動画(ビデオ)編集パソコン一覧へ
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注記)
●OpenGL : Silicon Graphics社が中心となって開発された、グラフィックス処理のためのプログラミングインターフェース。同社のグラフィックスワークステーション向けに開発されたGLをベースに、ハードウェアやOSに依存しない形に改良したもの。
3次元グラフィックスに関する機能が充実している。テクスチャマッピングやZバッファ法、グローシェーディングなど多彩な機能を持ち、Windows NTにも標準搭載されているため、ハイエンドのグラフィックスアプリケーションソフトに広く用いられている。
●Direct3D : Microsoft社のWindows用マルチメディア拡張API群であるDirectXに含まれるAPIの一つ。Direct3Dを使うと、Windowsパソコン上で3次元グラフィックス(立体表現を含むのグラフィックス)の高速な描画が可能となる。
パソコンに3Dグラフィックスアクセラレータが搭載されている場合は、Direct3Dでハードウェアを直接制御して、その持てる機能を最大限に生かすことができる。
Direct3Dを利用することにより、ゲーム専用機に劣らない高度な立体表現を使ってゲームなどのアプリケーションソフトを開発することができるようになったが、ハードウェアによる振る舞いの差などが開発者の間で問題になっている。
DirectX 8.0以降ではDirectDrawを事実上吸収し、「DirectX Graphics」と名称変更されている。
●OpenCL : あらゆる計算資源、すなわち、マルチコアCPUやGPU、Cellプロセッサ、DSPなどによる異種混在の計算資源を、特定のハードに縛られず統一的に扱えるオープンで無料なAPIとして、2008年にAppleが発表した。
並列コンピューティングのためのクロスプラットフォームAPIと言える。このAPIの仕様は標準化団体クロノス・グループで決定されるが、マイクロソフトはこれに参加してない。
OpenCLには、3DグラフィックスAPIであるOpenGL(クロスプラットフォーム)およびDirect3D(Windowsプラットフォーム専用)との相互運用性(Interoperability)がAPIレベルで確保されている。
ただし、DirectX 10以上のため、Direct3D 9との相互運用機能は、ベンダーに依存して異なる。
また、OpenCLと似た技術として、NVIDIAのCUDAがある。